過失割合が10対0になる場面とは?過失割合でもめたときの対処法について

加害者の全面的な過失で交通事故が発生した場合、過失割合は10対0となります。

しかし、被害者の方が「自分に非はない」と考えていても、相手方保険会社から「あなたにも過失がある」と主張されることがあります。

過失割合は、被害者が受け取れる賠償金の額を左右する重大な問題です。

そこで今回は、どのような場合に過失割合が10対0となるのか、過失割合でもめたときはどのように対処すればよいのかについてご説明いたします。

1 過失割合とは

過失割合とは、交通事故が発生したことについての過失が、当事者のどちらにどの程度あるのかを割合で示したもののことです。

「10対0」(被害者に過失なし)や「8対2」(被害者の過失が20%)のように示されます。

なぜ過失割合が決められるのかというと、被害者の過失の程度に応じて賠償金が減額されるからです。

例えば、過失割合8対2の場合、被害者に100万円の損害が生じていたとしても、20%減額された80万円しか受け取れません。このことを「過失相殺」といいます。

2 交通事故で過失割合が10対0になる場面

交通事故で過失割合が10対0になる主な場面は、以下のとおりです。

ただし、ここで紹介できるケースはほんの一例に過ぎませんので、気になる方は弁護士へのご相談をおすすめします。

(1)自動車同士の事故の場合

自動車同士の事故で過失割合が10対0になる場面は、主に次の3つです。

・停車中の車両に追突した

・センターラインをオーバーして対向車に衝突した

・赤信号を無視して交差点に進入し、青信号で進行中の車両に衝突した

その他の場面で、双方の車両が動いている場合には、被害者側にも何らかの過失が認められることがほとんどです。

(2)自動車とバイクの事故の場合

自動車とバイクの事故でも、過失割合が10対0になる主な場面は上記の3つに限られます。

ただし、自動車とバイクの事故では、バイク側の過失割合が基本的に5~20%ほど軽減される傾向にあります。そのため、あとでご説明する「過失割合の修正」によって10対0となる場面が自動車同士の事故より多いといえます。

(3)自動車と自転車の事故の場合

自動車と自転車の事故では、上記の3つの場面に加えて、次の場面でも過失割合が10対0になります。

・前方の自転車を追い越して左折しようとした自動車が衝突した

この他にも、過失割合の修正によって10対0となることがあります。

(4)自動車と歩行者の事故の場合

自動車と歩行者の事故で過失割合が10対0になる場面は、主に次の3つです。

・横断歩道を横断中の歩行者に衝突した

・歩道にいる歩行者に衝突した

・歩車道の区別がない道路で右側を歩行中の歩行者に衝突した

この他にも、過失割合の修正によって10対0となることがあります。

(5)過失割合の修正要素がある場合

交通事故が発生したときの具体的な状況によっては、基本的な過失割合に修正が加えられることがあります。修正要素は多岐にわたりますが、主に次のようなものが挙げられます。

【加害者側の事情】

・無免許運転や飲酒運転

・一定の程度を越える速度違反

・スマホを操作しながらの運転

・合図なしで右左折や進路変更 など

【その他の事情】

・幹線道路での事故

・住宅地や商店街での事故

・被害者が児童や老人の場合

例えば、自動車同士の事故で基本的な過失割合が8対2の場面でも、加害者が飲酒運転をしていた場合は20%の過失が加害者側に加算され、10対0となります。

3 過失割合でもめたときの対処法

過失割合が10対0となるはずの場面なのに保険会社から過失を主張された場合は、事故の客観的な証拠を示して交渉する必要があります。

過失割合は事故の発生状況によって決まるので、事故の発生状況を客観的に証明することが重要です。

ドライブレコーダーや防犯カメラなどに事故の模様が記録されていれば、強力な証拠となります。このような映像がない場合には、警察が作成した実況見分調書などの刑事記録を取り寄せるのが有効です。

有力な証拠を示せば、保険会社も過失割合10対0を認めて示談に応じる可能性があります。それでも保険会社が折れない場合には、泣き寝入りせず弁護士に相談することをおすすめします。

4 過失割合が10対0の事故で示談するときの注意点

過失割合が10対0の場合は、ご自身が加入している保険会社の示談代行サービスは利用できないことに注意が必要です。そのため、ご自身で示談交渉をするか、弁護士に依頼することが必要となります。

弁護士に依頼するためには費用がかかりますが、弁護士費用特約に加入していれば、自己負担なしで弁護士に依頼できます。

弊所では、交通事故に関するご相談には無料で対応しております。過失割合の問題に限らず、示談交渉の進め方や証拠の集め方などについてもアドバイスいたしますので、お気軽にご相談ください。

0120-115-456 メールでのお問い合わせ