交通事故による外傷性てんかんについて

1 てんかんとは  

 「てんかんとは様々な原因によってもたらされる慢性脳疾患であり、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とし、様々な臨床症状および検査所見がともなうもの」WHO(世界保健機関)編:てんかん辞典)

2 交通事故による発症原因

(1)  交通事故により脳を挫傷した場合特に頭蓋骨陥没骨折後外傷性てんかんを発症することがあります。
(2)  外傷により脳の実質部分に残した傷(瘢痕)は手術による摘出以外消し去ることはできません。この傷が原因で大脳の
    神経細胞の一部が一時的に異常に活発な活動を起こし正常な脳神経細胞も巻き込んで興奮状態になり、混乱した指
    令が運動感覚、自律神経系または精神機能の異常状態を引き起こし発作という形で外部に現れます。

3 症状  

 てんかんによる発作は全般発作と部分発作にわかれます。
(1)  全般発作は発作のはじめから脳全体が興奮し、意識が最初からわからなくなる発作です。
    全般発作には   
  ア 強直間代発作 意識喪失とともに全身を硬直させ(強直発作)、直後にガクガクと全身がけいれんする(間代発作)   
  イ 単純欠神発作 数秒から数十秒の突然に意識消失し、すばやく回復する
  ウ 複雑欠神発作 意識障害にくわえて他の症状、自動症やミオクロニー発作などを伴うものなどがあります。
(2)   部分発作は脳の一部分だけが興奮して起こる発作です。

4 後遺障害

(1) 外傷性てんかんでは、てんかん発作の型、発作回数が着目され、以下の4段階で評価されています。

等級 内容
1ヶ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が意識障害の有無を問わず転倒する発作、または意識障害を呈し状況にそぐわない行為を示す発作であるもの
転倒する発作が数ヶ月に1回以上あるもの、または転倒する発作以外の発作が1ヶ月に1回以上あるもの
数ヶ月に1回以上の発作が転倒する発作以外の発作であるもの、または服薬の継続により、てんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの
12 発作の発現はないが、脳波上明らかにてんかん性棘波を認めるもの

※5級を超える症状がある場合すなわち1ヶ月に2回以上の発作があるような症状ではてんかんだけが単独で発症しているのではなく通常脳挫傷による高次脳機能障害を発症し、てんかんを伴っていると考えられます。かかる場合高次脳機能障害の後遺障害等級を参照ください。

5 後遺障害等級獲得するには

(1)  交通事故による外傷性てんかんについて適切な後遺障害等級を獲得するにはてんかん発作の根拠となっている脳波を
    分析することが必要です。

(2)  弊事務所では外傷性てんかんの脳波を分析し後遺障害の申請や異議申し立てを行った実績もございます。一度ご相談
    いただければ適切な後遺障害等級を獲得すべく医証の収集もさせていただきます。

0120-115-456 メールでのお問い合わせ